従業員の年次有給休暇の取得状況を把握するための「年次有給休暇管理簿」とは、どのような内容が記載されていればよいのか。
また、作成した年次有給休暇管理簿はどのくらいの期間保存しなければならないのか。
年次有給休暇管理簿には、労働者ごとに年次有給休暇を与えた時季、日数および基準日を記載します。
また、年次有給休暇管理簿は、当該年次有給休暇を与えた期間中および当該期間満了後5年間(当分の間は3年間)保存しなければなりません。
顧問先のお客様につきましては、年次有給休暇管理簿は「Tools」にてダウンロードができますので、まだご確認いただけていないお客様は、これを見直す機会にしていただけましたら幸いです。
<POINT1.年次有給休暇管理簿の必要性>
平成30年の労働基準法改正(2025年は平成でいうと平成37年にあたるので7年前)により、年次有給休暇の付与日数が10日以上である労働者について、年5日以上確実に取得させることとされ、年次有給休暇管理簿を作成して、労働者ごとに取得状況を把握し、管理することとなりました。
<POINT2.年次有給休暇管理簿の作成開始時期>
年次有給休暇管理簿については、法定の年次有給休暇が付与されるすべての労働者について、平成31年4月1日以後の最初の基準日から作成する必要があります。
なお、基準日よりも前に、10日の年次有給休暇のうち一部を前倒しで付与している場合(分割付与の場合)については、年次有給休暇の付与日数や取得状況を適切に管理する観点から、最初に分割付与された日から年次有給休暇管理簿を作成する必要があります。
<POINT3.年次有給休暇管理簿の記載内容>
年次有給休暇管理簿には、労働者ごとに、年次有給休暇を与えたときに、時季、日数および基準日(第1基準日および第2基準日を含みます。)を記載しなければなりません。
「日数」とは、労働者が自ら請求し取得したもの、使用者が時季を指定し取得したものまたは計画的付与により取得したものにかかわらず、実際に労働者が年次有給休暇を取得した日数(半日単位で取得した回数および時間単位で取得した時間数を含みます。)をいいます。
ここでいう「基準日」とは、継続勤務した期間を6か月経過日から1年ごとに区分した各期間(最後に1年未満の期間が生じたときは、当該期間)の初日をいいます。
第1基準日とは、基準日より前の日であって、10日以上の年次有給休暇を与えることとした日をいいます。
第2基準日とは、10日以上の年次有給休暇を基準日または第1基準日に与えることとし、かつ、当該基準日または第1基準日から1年以内の特定の日に新たに10日以上の年次有給休暇を与えることとしたときの、特定の日をいいます。
使用者が時季指定した年次有給休暇について、取得日の変更があった場合には、年次有給休暇管理簿を修正する必要があります。
<POINT4.年次有給休暇管理簿の保存期間等>
年次有給休暇管理簿は、当該年次有給休暇を与えた期間中および当該期間満了後5年間(当分の間は3年間)保存しなければなりません。ただし、年次有給休暇管理簿は労働基準法第109条に規定する重要な書類には該当しません。
また、年次有給休暇管理簿は、労働者名簿または賃金台帳とあわせて調製することができます。
そして、勤怠管理システムの制約上、年次有給休暇の基準日、日数および時季を同じ帳票で出力することができないような場合でも、基準日、日数および時季が記載されたそれぞれの帳票を必要な都度出力できるものであれば、年次有給休暇管理簿を作成したものとして認められます。
ただし、労働者名簿に「入社日」、賃金台帳に「時季」と「日数」、就業規則に雇入れ後6か月経過日が「基準日」となる旨の記載を行うような方法では、労働者名簿と賃金台帳だけでは労働者ごとの基準日を直ちに確認することができないため、年次有給休暇管理簿を作成したものとは認められません。
なお、労働者名簿、賃金台帳と同様の要件を満たした上で、電子機器を用いて磁気ディスク、磁気テープ、光ディスク等により調製することも差し支えありません。
<POINT5.年次有給休暇管理簿の作成方法>
独立行政法人労働政策研究・研修機構が行った「年次有給休暇の取得に関するアンケート調査」(20211年7月)によれば、年次有給休暇の管理媒体は「電子システムを活用して管理」が約49%となっており、「紙の帳簿で管理」は44%とのこと。
また、管理の単位については、「すべて日単位で管理」約71%、「日単位と時間単位を分けて管理」が約22%、「すべて時間単位で管理」が約1%など、とのこと。
※当記事作成日時点での法令に基づく内容となっております※
《参考となる法令・通達など》
- 労基法39条、109条、120条
- 労基則24条の7、55条の2、附則71条
- 平30.9.7基発0907第1「改正労働基準法に関するQ&A」(平31.4厚生労働省)
