当社は新しく従業員を採用する際には、必ず試用期間を経てから正社員として採用することにしている。
現在の試用期間は6か月だが、6か月でその人物を評価するのは難しく、いっそのこと試用期間を1年にしてはどうかと考えている。試用期間の定めに制限はあるのか。
試用期間は、一般的に、労働者を本採用の前に、試験的に使用する一定の期間で、その期間中に労働者の勤務態度、資質、能力、性格などをみて従業員としての適格性の有無を判断して正式に採用するかどうかが決定されます。
試用期間の長さについては、法令による制約はありませんが、試用期間中労働者の地位は不安定な状態におかれますので、あまり長い期間とすることは好ましくなく、必要以上に長い定めは無効とされますので注意が必要です。
従業員の適格性を判断するのに、どの程度の期間が必要かは、職種などによっても異なると思いますが、一般的には、1か月ないし6か月の期間が大半を占め、数か月というのが多い中で、6か月以内が妥当な範囲と考えられております。
貴社の場合、現在の6か月からあえて1年に延長する必要があるのか、それが合理的な期間といえるかどうか、6カ月で判断できない場合には解雇すべきか否かも含め、再度よく検討してみてはいかがでしょうか。
<POINT1.試用期間とは>
試用期間とは、一般的に、労働者を本採用の前に試験的に使用する一定の期間で、その期間中に労働者の勤務態度、資質、能力、性格などをみて従業員としての適格性の有無を判断して正式に採用するかどうかが決定されます。
<PIONT2.試用期間の労働契約関係>
試用期間の労働契約関係については、本採用ではありませんが、労働契約は成立しており、一般的には、使用者が労働者を従業員として不適格であると認めたときは、そのことを理由に解約できる旨の解約権が留保されている特約付きの労働契約が成立しているものと考えられます。つまり、使用者の解約権が行使されないかぎり、試用期間の満了とともに本採用になる契約といえます。
<PIONT3.試用期間の長さ>
試用期間については、就業規則または労働契約で明確に定めておく必要があり、その期間は、例えば、3か月、6か月と定めることになります。
期間の長さについては、法令上の制約はないものの、試用期間中労働者の地位は不安定な状態におかれますので、あまり長い期間とすることは好ましくありません。必要以上に長い定めは無効とされますので注意が必要です。裁判例では、最短6か月、最長1年3か月という試用期間についてはともかく、それ以上の試用期間については、合理的範囲をこえているものであって、そのような試用期間の定めは公序良俗に反し、そのかぎりにおいて無効であるとされたものがあります(ブラザー工業事件)。
従業員の適格性を判断するのに、どの程度の期間が必要かは、職種などによっても異なると思いますが、一般的には、1か月ないし6か月の期間が大半を占め、数か月というのが多い中で、6か月以内が妥当な範囲といえます。
1年とすることが不可能ということではありませんが、貴社の場合、現在6か月であるのをあえて1年に延長する必要があり、それが合理的な期間といえるかどうか、6か月以内で適格性を評価できるような体制にすることも含めて、再度よく検討してみてはいかがでしょうか。
<PIONT4.試用期間中の解雇>
試用期間中の解雇については、試用期間を14日経過して解雇する場合には、労働基準法の規定により、少なくとも30日以上前に解雇の予告をするか、平均賃金の30日分以上の解雇予告手当の支払が必要となります(逆にいえば、14日までは解雇予告等は必要ありません。)。
なお、試用期間を定めずにただちに本採用にした場合は、採用後14日以内であっても解雇予告制度の適用があり、上記と同様に解雇予告等が必要です。
また、一見試用期間にあるような見習工などの名称がつけられていても、本採用決定前の過渡的なものでなく、一種の企業内での地位や職名であるような場合には、試用期間には該当しないことになります。
<PIONT5.試用期間の満了と解雇>
試用期間中の労働者の勤務成績などを判断し、試用期間の満了とともに本採用しない旨を決定した場合には、その労働者本人に通知しなければなりませんが、この場合も解雇となりますので、30日以上前に解雇の予告をするか、それがかなわなければ解雇予告手当の支払が必要となります。
また、本採用の拒否(留保された解約権の行使)については、本採用に適しないとする合理的な理由が必要と考えられます。最高裁判決(三菱樹脂事件)でも、「解約権の行使は、上述した解約権留保の趣旨、目的に照らして、客観的に合理的な理由が存し、社会通念上相当として是認される場合にのみ許されるものと解するのが相当である」とされています。
なお、試用期間が満了しても、使用者から何の通知もないときには、そのまま本採用としたとみなされるものと考えられます。
※当記事作成日時点での法令に基づく内容となっております※
《参考となる法令・通達など》
- 労基法20条、21条
- 民法90条
- 昭24.5.14基収1498
《参考となる判例》
- 三菱樹脂事件[最判S48.12.12]
- ブラザー工業事件[名古屋地判S59.3.23]
