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■試用期間中の賃金は本採用後のものとは別に設定してもよいか確認する。

 当社は6か月の試用期間をもうけているが、試用期間中は賃金を低く設定したらどうかとの意見があった。

 試用期間中の賃金を低くした場合、問題になるようなことはあるのか。

 試用期間中の賃金をいくらにするかは、法的には最低賃金を下回らないかぎり、基本的には自由ですが、学卒者である場合には、他企業の試用者に対する賃金額、一般的な初任給水準も考慮する必要はあります。

<POINT1.賃金の額に関して>

 賃金の額に関しては、最低賃金法第4条に基づく最低賃金を下回らない限り、いくらの賃金を支払うかは、当事者の定めるところによります。

 したがって、試用期間中の労働者の賃金について、本採用者とは別の賃金額にしても何ら問題はありません。

 また、最低賃金法第7条は、「試の試用期間中の者」については、試用者が都道府県労働局長の許可を受けたときは、最低賃金額より低い額を支払うことも認めていますが、実際問題としては、特別のケースを除き、許可申請をしてまで最低賃金以下の賃金を支払うケースはあまりないものと思われます。

 

<PIONT2.均等待遇の原則に関して>

 賃金の絶対額については、前記で説明したとおり、最低賃金を下回らない限り、いくらにするかは当事者の自由ですが、労働基準法第3条には、『使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。』という規定があります。

 この規定における「社会的身分」とは、「生来の身分をいう」とされており、試用期間中の者は「生来の身分」ではありませんから、この規定の適用はありません。

 

<PIONT3.同一労働同一賃金に関して>

 同一労働同一賃金の原則は、通常の労働者間については実定法は存在しませんが、仮に同一労働同一賃金の原則の観点から考えた場合、一般的には、試用期間中の者は教育訓練も交えた労働を行っており、本採用者が行う一定グレード以上の労働と区別し得ると思われますから、同一労働ではないとして賃金額も異なることについて説明は可能と思われます。

 もっとも、中途採用等で一定水準の能力があり、試用期間中においても本採用者と同等の労働に従事させている場合には、同一の賃金にすべきではないかというケースも考えられます。

 実定法上そのことを強制する法律は存在しませんが、実際に本採用者と同一価値の労働をさせている場合には、やはり、賃金額に差をもうけるべきではないと考えます。

 

<PIONT4.その他>

 もし、学卒者について、試用期間中の賃金をいわゆる初任給水準より下げようということであれば、次のことには注意する必要があります。

 一般に、学卒者の初任給について、試用期間中の賃金を低く設定している企業は、そう多くありません。試用期間中であっても、当該企業における正規の賃金を支払うケースの方がきわめて多いといっていいでしょう。

 単に法的にさしつかえないということで実施して、企業の評価が下がったのでは逆効果ですから、その点の注意は必要ではないかと考えます。

※当記事作成日時点での法令に基づく内容となっております※


《参考となる法令・通達など》

  • 最低賃金法4条、7条
  • 労基法3条