· 

■新型インフルエンザや新型コロナウイルス感染症に罹患した従業員を就業禁止にできるか確認する。

 本人または家族が新型インフルエンザや新型コロナウイルス感染症などの感染症に罹患した従業員には、感染力がなくなるまでの期間、出勤を見合わせるように指示する場合、その期間を無給の特別休暇扱いとしても問題ないか。

 新型インフルエンザは、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)および労働安全衛生法においては就業を禁止する取扱いにはなっておらず、一方、 新型インフルエンザは、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)および労働安全衛生法においては就業を禁止する取扱いにはなっておらず、一方、新型コロナウイルス感染症は、感染症法にもとづき都道府県知事による就業制限が課されることがありますが、その場合、労働安全衛生法にもとづく病者の就業制限の措置の対象とはなりません。

 

 しかしながら、就業規則でこれらを含む一定の疾病について罹患者や濃厚接触者の就業を禁止することができる旨定め、労働者に周知しておくことによって、必要に応じて就業禁止を命ずることができると考えられます。

 この場合の賃金については、就業を禁止された日は、労働者は労務提供の義務を負わないため、無給とすることも可能と解されます。

<POINT1.感染症法・労働安全衛生法上の取扱い>

 感染性のある疾病に罹患した場合の対応については、感染症法や労働安全衛生法に定められています。

 しかしながら、新型インフルエンザは、感染症法上は就業禁止の取扱いにはなっておらず、罹患したおそれのある者の義務は協力義務にとどまっています。

 また、労働安全衛生法においては第68条で病者の就業禁止を規定し、その対象者は労働安全衛生規則第61条第1項に定めていますが、新型インフルエンザはそれには該当しないと考えられます。

 したがって、法令を根拠に就業禁止を命ずることはできないものと考えられます。

 一方、新型コロナウイルス感染症は、感染症法にもとづき都道府県知事による就業制限が課されることがあります。

 感染症法による就業制限を行う場合は、感染症法によることとされ、労働安全衛生法にもとづく病者の就業禁止の措置の対象とはなりませんし、一般的には「使用者の責に帰すべき事由よる休業」に該当しないと考えられ、休業手当を支払う必要はありません。

 

<POINT2.就業規則の定め>

 ただし、従業員の就業禁止については、会社にとって必要な範囲で就業規則に定めることは可能と考えられます。

 つまり、就業規則により、法律上は就業が禁止されていない場合でも、就業が不適切な事例であれば就業を禁止することができますし、新型インフルエンザ・新型コロナウイルス感染症罹患者の濃厚接触者に対しても就業禁止を命ずることができると考えられます。

 これは、労働契約法第7条により「使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする」とされていることから、新型インフルエンザ・新型コロナウイルス感染症罹患者はもとより濃厚接触者の就業を禁止することが合理的な内容であり、それが周知されていればその就業規則は有効と解されるからです。

 

<POINT3.就業禁止期間の賃金>

 就業規則により、新型インフルエンザ・新型コロナウイルス感染症罹患者やその濃厚接触者の就業を禁止した場合の賃金の取扱いについては、従業員は就業を禁止されると、労務の提供をしないという義務を負うこととなりますので、賃金請求権もないし労働基準法の休業手当の請求もできないと解されます。

 したがって、就業禁止期間を無給としてもやむを得ないこととなりますが、有給とすることももちろん可能です。

 他方、就業規則によらずに(労働契約の内容になっていないのに)、会社が社員の就業を禁止した場合は取扱いが異なります。この場合は、使用者の責めに帰すべき休業として最低でも平均賃金の6割以上の賃金(休業手当)の支払いが必要となります。

※当記事作成日時点での法令に基づく内容となっております※


 《参考となる法令・通達など》

 

  • 労基法39条7項
  • 安衛法68条
  • 安衛則61条
  • 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律6条、18条、44条の4
  • 昭63.3.14基発150・婦発47
  • 新型コロナウイルス感染症に関するQ&A(企業の方向け)令和3年10月14日時点版(厚生労働省)