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■時間外労働の時間数を抑制するために、法定休日を定めてもよいか確認する。

 当社では、毎週水曜日と日曜日を休日としています。この度、月60時間をこえる時間外労働について割増賃金率が引き上げられたことに伴い、当社では、月60時間をこえる時間外労働を抑制するために、従来より休日出勤の多い水曜日を法定休日に定めたいと考えていますが問題はないでしょうか。

 また、水曜日と日曜日双方を法定休日とすることは可能でしょうか。

 平成22年4月1日から改正労働基準法が施行され、月60時間をこえる時間外労働に対して法定割増賃金率が50%以上に引き上げられました。この60時間には法定休日に労働させた時間は含まれませんので、休日が複数ある場合には休日を特定すること(法定休日)は理にかなうことと思われます。

<POINT1.法定休日の意義>

 労働基準法第35条で休日とは、「使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない」と定めています。この文言上、休日は何曜日であると特定していませんし、また、就業規則の絶対的記載事項として「休日に関する事項」と定めているだけで特定した日については何も規定していません。

 お題の場合、休日を水曜日と日曜日としているとのことですが、いずれを法定休日とするかは使用者の裁量の範囲となります。週に2回ある休日のいずれかを法定休日として特定する意義は、①法定休日に労働をさせた場合、労働基準法第37条により休日労働として35%の割増賃金を支払わなければならないこと、②月60時間をこえた時間外労働に対しては50%の割増賃金を支払わなければなりませんが法定休日はその時間外労働に算定されないことにかかわること、です。

①と②との関係で法定休日を就業規則等により特定しておくことが賢明です。なお、行政指導として「週休制の趣旨にかんがみて就業規則において休日をできるだけ特定させるよう指導する」という方針がとられています。

 

<POINT2.法定割増賃金率の引き上げ>

(1)労働基準法改正の概要

 法定割増賃金率の引上げは、1か月について60時間をこえて時間外労働をさせた場合には、そのこえた時間の労働について、法定割増賃金率を従来の25%以上から50%以上の率に引き上げるというものです。したがって、1か月の時間外労働が60時間に達した時点より後に行われた時間外労働について、50%以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならないことになります。

(2)中小企業の猶予措置

 法定時間外労働の割増賃金率の引上げは、平成22年4月1日から施行され、中小企業には令和5年(2023年)3月31日までは、適用が猶予されています。

つまり、従来の取扱いと同様の割増賃金率(25%以上)で算出された額で良いとされています。

 しかし、令和5年4月1日からは原則通り、50%以上の率で計算した割増賃金の支払いが必要となりますので、注意が必要です。

(3)法定休日労働との関係

 法定休日(週1日または4週間4回の休日:お題の場合は水曜日)に行った労働時間は、1か月60時間の法定時間外労働の算定には含まれませんが、それ以外の休日(週休2日制で法定休日以外の休日:ご質問の場合は日曜日)に行った労働時間は法定時間外労働の算定に含まれます。

 そこで、労働条件を明示する観点や割増賃金の計算を間違いなく行う観点から、法定休日とそれ以外の休日を明確に分けておくことが望ましいものです。言い換えれば、50%以上の割増賃金の支払いが必要になるのは、1か月60時間をこえる時間外労働に対してであり、この60時間には法定休日労働の時間数は含まれず、所定(法定外)休日労働は含まれることになるので注意が必要です。

 

<POINT3.週2回の法定休日>

 法定休日について労働基準法第35条では「毎週少なくとも1回」との規定のみで、週2回とすることに制限されていませんので、就業規則等において「週2回」とすることも可能と思われますが、そのいずれの日も労働をさせた場合には常に35%の割増賃金を支払わなければなりませんので留意する必要があります。

 

<POINT4.まとめ>

 お題の休日出勤が多い水曜日を法定休日としたときで、月60時間の時間外労働には算定されないという原則を踏まえると、月60時間をこえない範囲の時間外労働であれば割増賃金が35%となり、従来の25%より割増賃金率が増加することになります。労働者にとっては労働条件が有利に変更されたことになります。

 一方、従来水曜日は、時間外労働として算定されていましたので、月60時間の時間外労働をこえる範囲に含まれる場合は50%の割増賃金率となります。それが法定休日化により35%になるので、労働者にとっては不利益にもなります。いずれにしても労働条件の変更となりますので、労働者には十分な説明をして合意を得ることが望ましいでしょう。

※当記事作成日時点での法令に基づく内容となっております※


《参考となる法令・通達など》

  • 労基法32条、35条、37条
  • 労基則19条、19条の2
  • 昭23.5.5基発682
  • 昭63.3.14基発150
  • 平21.5.29基発0529001
  • 平30.9.7基発0907第1