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■管理監督者の労働時間も把握する必要があるかを確認する

 当社の従業員から、渉外部長Jが毎日のように終電時刻まで深夜労働したり、会社に泊まり込んでいる、との情報が寄せられた。

 渉外部長Jは出退勤の自由裁量がある管理監督者だが、管理監督者が深夜労働をする場合、会社はその労働時間を把握しなければならないか。

 また、渉外部長が過重労働で倒れたとしたら、会社は責任を問われるのか。

 管理監督者であっても、健康確保を図る必要があることから、使用者において適正な労働時間管理を行う責務があるとされており、また、深夜業の割増賃金の支払義務があることから、深夜労働時間数を適正に把握する必要があります。

 そして、管理監督者も労働者ですので、過重労働により疾病等を発症させた場合には、安全配慮義務違反による損害賠償責任を問われる可能性はあります。

 労働安全衛生法では、長時間労働者に対する医師による面接指導を実施するため、労働時間の状況の把握を義務付けています。

<POINT1.適正な労働時間管理>

 労働時間の適切な管理については、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」が示されていますが、管理監督については、このガイドラインにもとづき使用者が労働時間の適正な把握を行うべき対象労働者から除外されています。

 しかしながら、管理監督者を始めガイドラインが適用されない労働者についても、健康確保を図る必要があることから、使用者において適正な労働時間管理を行う責務があるとされています。

 

<POINT2.深夜労働時間数の把握>

 また、管理監督者については、労働時間、休憩および休日に関する労働基準法の規定は適用除外とされていますが、管理監督者が深夜(午後10時~午前5時)労働を行った場合には、同法37条により、深夜業の割増賃金の支払義務が発生しますので、深夜労働時間数を適正に把握する必要があります。

 

<POINT3.労働時間の把握・管理方法>

 管理監督者の労働時間の把握・管理については、一般の従業員に準ずるなど、上記ガイドラインで示されている措置(①始業・終業時刻の把握および確認、②始業・終業時刻の確認および記録の原則的な方法、③自己申告制により始業・終業時刻の確認および記録を行う場合の措置)を参考にして実施することが望ましいと考えられます。

 

<POINT4.安全配慮義務>

 使用者は労働契約に伴い、当然に安全配慮義務を負うものとされており、労働契約法においても、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」(同法5条)として、使用者の安全配慮義務を明記しています。

 使用者がこの安全配慮義務を怠り、労働者に損害が発生した場合、使用者は労働者に対して損害賠償責任を負うことになります。

 管理監督者は、むしろ配下の従業員に対して安全配慮義務を履行する立場にあると考えられますが、管理監督者といえども労働者であることには変わりありませんので、過重労働による疾病等について損害賠償責任が問われる可能性は否定できません。

 したがって、管理監督者についても労働時間の把握・管理を適正に行い、長時間労働の常態化や過重な業務量による負荷が認められる場合は、これらの是正・改善措置等について検討し、実施する必要があると考えます。

 

<POINT5.面接指導実施のための労働時間の把握>

 労働安全衛生法第66条の8の3により、使用者は、労働安全衛生法第66条の8・第66条の8の2にもとづく、長時間労働者に対する医師による面接指導を実施するため、労働者の労働時間の状況を把握しなければならないこととされています。

 この労働者の労働時間の状況を把握する方法は、タイムカードによる記録、パーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間の記録等の客観的な方法その他の適切な方法とされています。

 これにより把握した労働時間の状況の記録を作成し、3年間保存するための措置を講ずることとされています。

※当記事作成日時点での法令に基づく内容となっております※


《参考となる法令・通達・判例など》

  • 労基法37条、41条
  • 労衛法65条の3、66条の8の3
  • 安衛則52条の7の3
  • 労契法5条
  • 平29.1.20基発0120第3(労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドラインについて)